年齢とともに、草むしりや庭木の剪定、落ち葉の掃除など、庭の管理が大きな負担に感じられる方は少なくありません。放置した庭は害虫や防犯面のリスクにつながるだけでなく、将来的に家族の負担となることもあります。こうした理由から、近年では「庭じまい(庭の終活)」を検討する方が増えています。
しかし、「庭じまいにはいくらかかるの?」「できるだけ費用を抑える方法はある?」と疑問を抱く方も多いでしょう。
この記事では、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- 庭じまいの費用相場と、費用が変動する要因
- 費用を抑えるための具体的なポイント
- 後悔しない業者選びのコツ
庭じまいを検討している方が安心して準備を進められるよう、費用の目安や注意点をわかりやすくご紹介します。
庭じまいとは?シニア世代に注目される理由
「庭じまい」とは、庭の手入れが難しくなった時に、庭木の伐採や剪定、庭石の撤去など、庭全体の管理を楽にする作業のことを指します。
シニア世代が抱える庭の手入れの負担
高齢化に伴い、庭の手入れに悩む方は非常に多いです。
毎年の草むしりや庭木の剪定は、想像以上に体力を消費します。特に腰痛や膝痛を抱えている方にとって、前かがみで雑草を抜く作業や、脚立に上って枝を切る危険な作業は、深刻な身体的負担になっているのです。
転倒のリスクも高まり、一度けがをすれば、その後の日常生活に大きく影響してしまいます。
社会的負担と家族への影響
庭じまいが必要とされるのは、身体的な負担だけが理由ではありません。
放置された庭は、害虫が増殖する温床になったり、落ち葉が近隣の家に積もったりするなど、近所の方に迷惑をかけてしまう可能性があります。また、見通しが悪い庭は防犯上のリスクも高まります。こうした社会的な負担を軽減することも、庭じまいの重要な目的なのです。
さらに見落とされがちなのが、家族への負担です。親が管理している庭も、いずれは子供世代が受け継ぐことになります。しかし、子供たちが遠方に住んでいたり、忙しい仕事を抱えていたりすれば、親の庭の管理は大きなストレスになってしまいます。親が健康なうちに庭を整理しておくことは、子供たちへの思いやりであり、後々の相続トラブルを防ぐための実質的な対策でもあるのです。
庭じまいの費用とメリット
庭じまいにはもちろん費用がかかります。
伐採や庭石の撤去、処分費などを考えると、数十万円から数百万円の規模になることもあります。しかし、その先にある「管理が楽になる暮らし」「家族への安心」「近隣トラブルの回避」というメリットを考えれば、決して無駄な投資ではありません。
【項目別】庭じまいにかかる費用相場一覧
庭じまいの費用は、何をどこまで行うかによって大きく異なります。
伐採の費用相場
庭木の伐採費用は、木の高さと太さで決まります。
- 低木(3メートル未満): 約5,000円〜15,000円
- 中木(3〜5メートル): 約10,000円〜25,000円
- 高木(5メートル以上): 約25,000円〜100,000円以上
太い幹の木ほど、また高い位置の枝ほど、危険性が増すため費用が高くなるのです。複数の木がある場合は、本数分だけ費用が発生するため、事前に数を把握しておくと良いでしょう。
抜根の費用相場
伐採した後に、地中に残っている根を取り除く作業が抜根です。
- 小さい根(幹の直径〜20cm程度): 約3,000円〜15,000円
- 太い根(幹の直径30cm以上): 約15,000円〜80,000円以上
この作業は伐採よりも手間と時間がかかるため、費用も高くなる傾向があります。
重機を使わず手作業で行う場合と、ユニック車などの重機を導入する場合で、費用が大きく変わります。庭の広さや根の深さによって、必要な機械が変わるため、現地での相談が重要です。
庭石・灯籠の撤去費用相場
庭石や灯籠の撤去費用は、重さで計算されることが多いです。
一般的には1キログラムあたり40円〜60円が相場となります。例えば、1トン(1,000キログラム)の庭石であれば、40,000円から60,000円の撤去費用が発生する計算です。
ただし、非常に大きな石の場合は、クレーン車などの重機が必要になり、重機の使用料(1日あたり30,000円〜50,000円程度)が別途かかることもあります。
見積もりを取る際は、石の重さをどう計測するのか、重機が必要かどうかを必ず確認してください。
庭池の埋め立て費用相場
庭に池がある場合、その埋め立てには20万円前後の費用がかかることが多いです。
池の水を抜く、中の泥を取り除く、底面を整地して土で埋める、という複数の工程が必要だからです。池の大きさや深さによって費用は上下しますが、この作業は専門的な知識と機械が必要なため、自分では行わない方が良いでしょう。
不用品処分の費用相場
庭じまいに伴い、物置や古い資材、余った土などの処分が発生します。
- 物置の解体・撤去: 約3,000円〜15,000円
- 余った土の処分: 1平方メートルあたり約800円〜4,000円以上
広い庭の場合、この残土処分費だけでも相当な額になるため、事前に量を確認しておくことが大切です。
総額の目安
以上をまとめると、庭じまいの総費用は、庭の広さだけでなく撤去するものの量や作業環境によって大きく異なります。
- 小規模な庭(15平方メートル程度): 約10万円〜30万円
- 中規模な庭(30平方メートル程度): 約30万円〜50万円
- 大規模な庭(100平方メートル程度): 約100万円以上
敷地が狭く重機が入れずにすべて人力で作業を行うケースでは、小規模であっても費用が高騰する傾向があります。
これらはあくまで目安であり、現地の状況によって変わるため、複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。
庭じまい後の管理を楽にするリフォーム案と費用
庭じまいは、単に不要な木や石を撤去するだけでは完結しません。その後、どのような空間にするかを決めることが、管理の手間を大きく左右します。
防草シート+砂利敷き
最も一般的で、費用を抑えやすい方法です。地面に防草シートを敷き、その上に砂利を敷くことで、雑草の生え方を大幅に減らせます。
プロの専門業者に依頼する場合、総費用の目安は整地代や人件費を含めて1平方メートルあたり3,000円から10,000円程度です。
- 防草シート(耐用3〜5年): 1平方メートルあたり約100円〜200円
- 防草シート(耐用5〜10年以上): 1平方メートルあたり約300円〜1,000円
- 砂利: 1平方メートルあたり500円〜1,500円
これらに加え、地面を平らにする整地費用や出張処分費などが加算されます。
防草シート+砂利の利点は、施工が簡単で工期が短いこと、そして後々シートや砂利を交換することで、長年にわたって管理を続けられることです。ただし定期的に砂利の補充が必要になるため、完全なメンテナンスフリーではありません。
コンクリート舗装・土間打ち
庭全体をコンクリートで覆う方法です。費用は高くなりますが、管理はほぼ不要になります。
一般的な費用相場は、地面の掘削や残土処分、ワイヤーメッシュなどの下地処理費用を含めて1平方メートルあたり10,000円〜15,000円が相場です。30平方メートルの庭なら30万円~45万円かかるケースが一般的です。
この方法は「長年にわたって管理の手間を最小限にしたい」という方に最適です。特に、将来的に自宅の売却や賃貸を考えている場合、駐車場として活用できるコンクリート舗装は、実用面での価値をプラスしやすいという利点があります。ただし、経年劣化によるひび割れの発生や、目地からの雑草、表面のコケ・カビなどの手入れが完全に不要になるわけではない点には留意しましょう。
人工芝・ウッドデッキ
景観を保ちながら管理を楽にしたい方におすすめの方法です。
- 人工芝: 1平方メートルあたり約6,000円〜15,000円(施工費含む)
- ウッドデッキ: 約25,000円〜80,000円(施工費含む)
ウッドデッキは選ぶ木材の種類やサイズによって変動します。
これらの方法なら、眺めを失わずに、草刈りの手間を大幅に減らせます。特に「庭全体を壊したくない」「1本だけシンボルツリーを残したい」という希望を持つ方に向いています。
家族への思いやりを込めた選択
庭じまいのリフォーム案を選ぶ際、重要なのは「今後誰がこの庭を管理するのか」を考えることです。親が健康なうちに、将来の管理の手間をできるだけ減らしておくことは、子供世代への大きな思いやりになります。
コンクリート舗装は初期費用こそ高いものの、相続後に子供たちの管理の手間を最小限にできます。また、将来的に不動産として活用する際も、管理の手間が少ない状態に整えられている物件は、買い手や借り手に対する実用的なアピールポイントになりやすく、売却や賃貸の取引を円滑に進める一因となります。
自分たちの人生設計と家族の将来を見据え、どのリフォーム案が最適かをプロと相談しながら決めることが大切です。複数の業者から提案を受け、費用と管理の手軽さのバランスを取ることをお勧めします。
庭じまい費用が変動する重要要因
庭じまいの費用は、庭の広さが同じであっても、現場の条件によって大きく変動することがあります。見積もりをもらった際に「こんなに高いの?」と驚かないためにも、費用が変わる主な要因を理解しておくことが大切です。
重機の進入可否
庭じまいで最もコストに影響するのが、重機(ユニック車やショベルカーなど)が進入できるかどうかです。
庭まで通じる道が広く、重機を進める安全性が確保できれば、作業を効率よく進められます。しかし、狭い路地を通る必要があったり、通路がない中庭の施工などで、建物の間や室内の居住スペースを厳重に養生して手作業で搬出したりしなければならない場合、手作業の範囲が増えるため、人件費が大幅に上がります。
施工条件によって総額は大きく変動するため、例えば同じ大きさの庭でも、重機が入れば50万円で済む作業が、手作業のみだと100万円以上かかることもあります。
見積もりの段階で、業者が「重機の進入路は確保できるか」「それが難しい場合の費用がいくらか」を具体的に説明してくれるかどうかが、信頼できる業者の見極めポイントとなります。
処分費の算出方法と運搬距離
伐採した木や撤去した庭石、掘り起こした土などの処分には、「処理費」と「運搬費」が別途かかります。この2つは現場の状況によって大きく異なります。
処分場が近ければ運搬費は安く済みますが、遠い場合は1回の運搬ごとに高い費用がかかります。また、庭から搬出経路までの距離が長く、何度も往復する必要があれば、その分の人件費も増えるのです。
さらに、搬出経路に家の壁や家族の大切なものがあれば、保護するための養生費も発生します。見積もりには「処分場までの距離」「必要な搬出回数」を明記するよう業者に求めることが重要です。
地域による人件費と処分費の差
都市部と地方では、人件費と処分費が異なります。都市部は人手不足の影響で人件費が高く、処分場の運営費が割高に設定されていることが多いです。地方では相対的に安いケースが多いものの、処分場が遠い場合は運搬費がかさむこともあります。
さらに、その地域の造園業者や外構業者の数によっても相場が変わります。業者が少ない地域では、1社あたりの需要が高く、料金を高めに設定できる傾向があります。複数社から見積もりを取り、相場を把握することは、地域を問わず重要な手段です。
お祓いや供養の有無
長年慈しんできた庭木や庭池に対して、お祓いや供養を行いたいと希望する方もいます。
地域の神社で初穂料(お祓いの費用)を支払う場合、20,000円〜50,000円程度かかることが多いです。専門の業者に手配してもらう場合は、仲介手数料を含めてさらに高くなる可能性があります。
庭じまいを「心を込めた終活」として捉えるなら、この要素も見積もりに含めて相談することをお勧めします。
見積もり時の注意点
費用の変動要因を理解したら、見積もりの際に業者に「費用が増える可能性がある条件は何か」を具体的に質問することが大切です。
事前に把握していれば、後からの追加請求に戸惑うことなく、計画的に進められます。複数の業者から詳細な見積もりを取り、要因ごとの費用差を比較することで、納得できる業者選びができるのです。
庭じまいを依頼できる業者の種類と特徴比較
庭じまいを依頼できる業者にはいくつかの種類があります。それぞれ得意分野や対応範囲が異なるため、自分の要望と業者の守備範囲をしっかり照らし合わせることが重要です。
造園業者
庭木の剪定や伐採、植栽などを専門とする業者です。植物の知識が豊富で、樹木の状態を見極め、「この木は残したい」「この庭石は移植できる」といった、個別のニーズに対応しやすいのが特徴です。
造園業者の強みは、単に木を切るだけでなく、その後の庭の美しさを考慮した提案ができることです。例えば、シンボルツリーを1本残して、その周りをすっきりとさせて手入れがしやすく、歩きやすい空間に整えるといった、今後の生活に合わせた工夫を加えられます。
ただし、コンクリート舗装などの本格的な土木工事が必要な場合は、別の業者への手配が発生し、その分の中間手数料が上乗せされる可能性があります。
外構・エクステリア業者
庭の骨組みやデザインを作り変えることを得意とする業者で、伐採から舗装までをワンストップで対応できるケースが多いです。防草シート敷き、砂利舗装、コンクリート打ち、フェンス設置など、庭じまい後の全体的なリフォームを一括で請け負えます。
この業者の利点は、複数の工程を一社で完結できるため、施主側の窓口が一本化されて手配や打合せの手間が減ること、そして現場の施工を一元管理する調整役がいるため工事がスムーズに進みやすいことです。
ただし、植物の専門知識は造園業者ほど深くない場合があるため、特定の樹木を残したい場合は、その木の処遇や工事中の保護方法について、事前調査の段階から細かく希望を伝える必要があります。
解体業者
とにかく早く、安く庭を更地にしたいという方向けの業者です。庭木の伐採、庭石の撤去、不用品処分などを一括で行い、短期間で作業を完了させるのが特徴です。
解体業者を選ぶメリットは、費用が安く、工期が短いことです。ただし、「特定の庭木や庭石を傷つけずに残す」「綺麗に移植する」といった、園芸・造園視点での繊細な作業を求める場合には向きません。
また、解体後の平らにならす作業は行ってくれますが、庭としての美観を保つための真砂土(まさど)仕上げや、その後の植物の管理方法についての提案までは期待しづらい傾向があります。「とにかく今ある物をすべて取り除きたい」という場合に適しています。
シルバー人材センター
定年退職者などの高齢者に、地域の日常生活に密着した簡単な仕事を提供する公益社団法人です。軽い草むしりや落ち葉掃除などの作業を、専門業者に比べて比較的安価に依頼できます。
ただし、高齢者の安全確保の観点から、重い庭石の撤去や高所での大きな庭木の伐採、重機を使用する作業などには対応していないケースがほとんどです。
大がかりな伐採・抜根やコンクリート舗装などはプロの専門業者に一度すべて施工してもらい、その後の日常的な草むしりや落ち葉拾いといった定期的な維持管理をシルバー人材センターに依頼する、という組み合わせがコストを抑えられて現実的です。
- 旭市: 高さ4メートル以内(旭市シルバー人材センター)
- 匝瑳市: 高さ4メートルまで(匝瑳市シルバー人材センター)
- 成田市: 概ね4メートルの高さ(成田市シルバー人材センター)
- 富里市: 不明(富里市シルバー人材センター)
- 多古町: 高さ4メートルまで(多古町シルバー人材センター)
最適な業者選びのポイント
庭じまいで最も大切なのは、「どこまで対応してくれるか」を事前に確認することです。例えば、庭木を残しつつ、その周りをコンクリート舗装したいのであれば、造園知識と土木技術の両方を持つ外構業者が適任です。
また、業者が「自分たちの作業が完了した後の庭」についてどの程度の提案をしてくれるかも、長期的な満足度に影響します。単に「壊して終わり」ではなく、「その後、親族がメンテナンスしやすい状態にする」という思いやりを持つ業者を選ぶことが、本当の意味での庭じまいの成功につながるのです。
複数の業者から見積もりを取り、対応範囲や姿勢をしっかり比較することをお勧めします。
失敗しないための業者選びと見積書のチェックポイント
見積もりを取った際、その内容をしっかり吟味し、信頼できる業者かどうかを見極めることが大切です。
見積書に「一式」と書かれていないか確認
見積書を開いたときに、「庭じまい一式30万円」というように、項目が大まかにまとめられている場合は注意が必要です。これでは、何にいくらかかるのかが全く不明瞭であり、後から「実はこの作業は含まれていなかった」「想定よりゴミが多かったので処分費を追加する」といった追加請求が発生しやすいのです。
信頼できる業者は、「伐採費」「抜根費」「庭石撤去費」「運搬費」「処分費」というように、作業ごとに細かく項目を分けて記載します。各項目に対して「木の高さや幹回り」「庭石のサイズや数量」といった、根拠となる数字も明記されているのが理想的です。
疑問点にきちんと答えてくれるか確認
見積もりをもらったら、遠慮なく質問してみましょう。例えば、「この処分費に、運搬料は含まれていますか?」「地中から予想外の石が出てきた場合、費用はどうなりますか?」といった具体的な質問をします。
重要なのは、その質問に対して業者がどう答えるかです。予測が難しい事象に対して、安易にその場で安請け合いをせず、確認の上で「後日、書面などで明確な回答を提示してくれるか」を確認しましょう。曖昧にごまかしたり、質問に対して誠実な再回答を拒んだりする業者は、避けた方が無難です。
逆に、「状況を確認し、万が一の際は別途見積もりを作成します」「不確定要素への対応方針を契約書に記載します」というように、具体的で丁寧に対応してくれる業者は信頼性が高いといえます。
追加料金が発生する条件を書面で確認
見積もりの際には、追加料金が発生する可能性について、書面で確認しておくことが重要です。例えば、「地中から想定外に大きな石が見つかった場合」「搬出経路に支障が生じた場合」といったケースで、どのような費用が発生し、どのように決定されるのかを明記してもらいます。
これを事前に書面に残しておけば、施工後に「聞いていなかった」というトラブルを防げます。契約書に「追加料金発生時は、事前に書面で報告し、お客様の承認を得てから作業を進める」といった一文があると、さらに安心です。
作業工程のシミュレーションを説明
優良な業者は、現地調査の際に、実際の作業の流れを説明してくれます。例えば、「初日は木を伐採し、2日目に抜根を行い、3日目に残土を運び出します。その際、建物への傷を防ぐため、このように養生を施します」というように、具体的なシミュレーションを示してくれるのです。
このシミュレーションを聞くことで、業者が現場をしっかり把握しているかどうか、また近隣への配慮がどの程度あるのかが判断できます。さらに、「搬出経路を教えてください」と聞き、実際のルートを確認することで、自分の家や隣家への傷や汚れのリスクも見えてきます。
複数社から見積もり
最後に、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。2〜3社程度が目安です。同じ内容で見積もりを取ることで、相場が見えてきますし、業者ごとの対応姿勢の違いも明確になります。
極端に安い見積もりには警戒が必要です。一方、最も高い業者が必ずしも最良とは限りません。大手だから、知名度があるからという理由だけで選ぶのではなく、見積もりの内訳が細かく開示されており、価格に見合った丁寧な施工が期待できるかを見極めることが大切です。
庭じまいの費用をできるだけ抑えるコツ
閑散期を狙って依頼
造園業界には繁忙期と閑散期があります。繁忙期は5月〜12月です。この時期は多くの人が庭の手入れを業者に依頼するため、業者も忙しく、費用を値引きする余裕がありません。
閑散期は1月後半〜4月です。業者側の予定に比較的余裕があり、日程の融通が利きやすくなります。業者によってはこの時期限定の割引キャンペーンを行っている場合もあり、見積もり時の交渉次第で数%〜10%程度の値引きやサービスを期待できることがあります。
ただし、真夏は台風や熱中症対策による作業の中断、真冬は積雪によるスケジュールの遅延など、気候の影響で工期が延びやすい点にも留意し、無理のない施工時期を業者と相談して決めることが大切です。
体力的に可能な範囲で事前準備
軽い草むしりや落ち葉拾いなど、体力的に無理のない作業は、自分たちで先に進めておくと、業者に依頼する作業量が減り、費用を抑えられます。
例えば、庭じまい前に自治体のゴミ回収を利用して、小さな枝や落ち葉をコツコツ出しておけば、業者が処分する量が少なくなります。ただし、自治体のゴミ回収は一度に出せる量(袋数など)にルールがあることが多いため、数回に分けて計画的に排出するのがポイントです。
ただし、重い庭石を動かしたり、太い根を掘り起こしたりするのは、危険ですので避けてください。
自治体の補助金制度を確認
地方自治体によっては、「空き家対策補助金」など、庭じまいに関連する補助制度を設けていることがあります。これらの補助金を利用すれば、費用の一部が助成(支給)されます。
補助額は自治体によって異なりますが、工事費の20%から50%程度が補助されるケースもあります。ただし、こうした自治体の補助金制度を利用する際は、「必ず工事の着工前に申請手続きを完了させる」という条件が設けられていることがほとんどです。事後申請では受け取れないケースが多いため、検討している場合は事前に自治体の窓口へ必ず確認しましょう。
一括見積もりサイトを活用して相見積もり
複数の業者から見積もりを取ることで、相場を把握し、価格交渉がしやすくなります。一括見積もりサイトを利用すれば、手間をかけずに複数社の見積もりが得られます。
同じ条件で複数社の金額を比較することで、「この業者は処分費が安い」「この業者は人件費が安い」といった特徴が見えてきます。
ただし、他社の具体的な見積もり金額を引き合いに出して、単に「他社は○○円だったから安くしてほしい」と過度な値下げを迫るやり方は避けましょう。業者の信頼を損ねるだけでなく、無理な値引きが「手抜き工事」や「廃棄物の不適切な処理」といったトラブルにつながるリスクがあるためです。
見積もりを比較した上で予算が合わない場合は、他社との価格差の理由(作業範囲や施工方法の違い)を業者に確認し、「予算内に収めるために、削れる工程や自分たちでできる作業がないか」を建設的に相談する材料として活用するのが賢い方法です。
庭じまいを検討し始める最適なタイミングと進め方
庭じまいは大きな決断ですが、「いつやるべきか」を先延ばしにすると、さまざまなリスクが増えていきます。
決断力があるうちに行動
庭じまいを検討すべき最適なタイミングは、「自分たちの健康と判断力がしっかりしているうちに」ということです。年齢を重ねるにつれて、判断力や体力は低下していきます。病気や事故で急に動けなくなることもあります。
そうなってしまうと、自分の希望を業者に正確に伝えることが難しくなります。「この樹木は残したい」「この庭石をどうしてほしい」といったこだわりを、自分の声で業者に伝えられるのは、健康なうちだけなのです。
判断力が低下した後に家族が代理で進めようとすると、親の真意が分からずに子どもが処分を迷ったり、家族間でお庭の今後を巡って意見が対立したりするトラブルが生じやすくなります。
相続や売却を見据えたタイミング
実家の相続が控えている、または将来的に自宅を売却する可能性がある場合は、早めに庭じまいを進めることをお勧めします。適切に整理された庭は、売却時に庭木や庭石の撤去費用を差し引かれるといった「マイナス査定」を防ぎ、内覧時の買い手の第一印象を良くする効果があるからです。
逆に、放置された庭が残っていると、相続した後に遺族にとって維持管理の大きな負担となったり、売却時に買い手が見つかりにくくなったりするリスクがあります。
全体の流れ
庭じまいを開始することを決めたら、以下の流れで進めていきます。
- 家族で相談
- 「どのような庭にしたいか」「全面撤去するのか、一部を残すのか」「予算はどの程度か」といった希望を、家族全員で共有
- 親の思い、子供の要望を言葉にしておく
- 見積もり
- 複数の業者に現地調査を依頼
- 契約
- 作業内容、費用、工期、追加料金の条件などが明記されていることを確認
- 施工
実際の施工に入る前には、騒音や車両の出入りによる影響を考慮し、業者と一緒に近隣住民へ事前挨拶を済ませておくと安心です。
工事中は、業者とのコミュニケーションを大切にし、進捗状況を定期的に確認することで、予期しない問題が発生しても対応しやすくなります。
心理的な準備も重要
庭じまいは、費用や手続きの面だけでなく、心理的な準備も必要です。長年慈しんできた庭と別れるのは、多くの方にとって寂しさを伴うものです。
ただ、庭じまいは「庭を失う」のではなく、「新しい暮らしを始める」という前向きな選択です。管理の手間や事故のリスクから解放され、浮いた時間とエネルギーを、自分たちの生活のために使えるようになるのです。
庭じまいを通じて、親が子供世代に「思いやり」を形にして伝える。それこそが、後悔のない「庭の終活」につながります。
まとめ
庭じまいは、庭の管理負担を軽減するだけでなく、ご自身やご家族の将来を見据えた「お庭の終活」として注目されています。費用は庭の広さや樹木・庭石の量、工事内容によって大きく変わるため、まずは現地を確認したうえで見積もりを取ることが大切です。
また、複数の業者を比較し、作業内容や追加費用の有無までしっかり確認することで、納得のいく庭じまいにつながります。
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