もう迷わない!リチウムイオン電池の正しい処分方法

リチウムイオン電池を使用した製品の山(Generated by ChatGPT) 不用品回収

スマートフォンやノートパソコンなど、日常的に使用する多くの電子機器に使われているリチウムイオン電池。しかし、その処分方法については、いまだに情報が行き渡らず周知が不十分な点が多く、間違った扱いによって火災事故などの危険が生じています。
この記事では、一般家庭と事業所の両方に向けて、法令や自治体のルールをふまえた安全で適切な処分方法を詳しく解説します。

  • リチウムイオン電池の基本と危険性
  • 法律や自治体ルールのポイント
  • 正しい廃棄手順と実践方法

正しい知識を共有することで、事故のリスクを減らし、環境への負荷を軽減できる可能性が高くなります。

まず理解!リチウムイオン電池とは何か

リチウムイオン電池は、多くの電子機器に使われる高性能な充電池です。処分方法を誤ると重大な事故や環境汚染につながるため、基本的な知識を押さえておくことが重要です。

リチウムイオン電池の基本構造と仕組み

リチウムイオン電池は、正極・負極・電解液・セパレータの4つの基本構成で成り立っており、リチウムイオンが充放電に応じて両極間を移動することで電力を供給します。正極にはコバルトやニッケル、負極には炭素材料が使われることが一般的です。これにより高エネルギー密度を実現していますが、衝撃過充電短絡などで熱暴走を起こす危険性もあります。

参考:
電池による事故の防止について(注意喚起) | 製品安全 | 製品評価技術基盤機構
知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~「蓄電池」は次世代エネルギーシステムの鍵|エネこれ|資源エネルギー庁

使用される主な機器とその用途

リチウムイオン電池を使用している製品
  • スマートフォン
  • ノートパソコン
  • 電動自転車
  • 電動工具
  • モバイルバッテリー
  • コードレス掃除機

事業所では、産業用ロボットや防災用電源などにもリチウムイオン電池が使用されています。一般家庭に比べて大量の電池を保有するケースがあり、処分時の管理が重要です。産業廃棄物となる場合は、専門の業者や法的ルールへの対応が必要です。

再利用・リサイクルが求められる理由

リチウムイオン電池には、希少金属(リチウム、コバルト、ニッケルなど)が含まれており、資源の有効利用が強く求められます
環境省の資料によれば、これらの金属資源は日本国内では産出されず、多くを輸入に依存しています。また、廃棄物として適切に処理されなかった電池は、焼却時の爆発事故や埋立地での土壌汚染など深刻な環境問題を引き起こす可能性があります。
こうした背景から、リチウムイオン電池のリサイクル制度は「資源有効利用促進法」に基づき、法的義務として定められています。個人・企業を問わず、廃棄する際には単なるごみではなく「資源」として意識することが必要です。

絶対にNG!危険な取扱いの数々

不適切な取扱いにより爆発炎上するスマホ(Generated by ChatGPT)

リチウムイオン電池は取り扱いを誤ると、火災や爆発といった重大な事故につながります。実際の事故例や原因を知り、危険な取り扱いを避けることが必要です。

ゴミ箱にそのまま捨てる危険性

リチウムイオン電池を可燃ごみや不燃ごみに混ぜて廃棄することは、多くの自治体で禁止されており、大変危険です

家庭ごみ収集時における回収車両内での発火事故が報告されており、消防庁のデータによれば、廃棄物火災の原因の一つとしてバッテリー類が挙げられています。
こうした事故は回収作業員の安全を脅かすだけでなく、処理施設の稼働停止など社会的な損失にもつながるため、正しい分別と処分が必須です。

発火・爆発を引き起こす要因とは

リチウムイオン電池は、内部短絡や外部からの圧力、過充電などの要因で容易に発熱・発火します

特に、破損したバッテリーや端子部分が金属と接触した状態では、ショートを起こしやすくなり、爆発事故のリスクが高まります。
一般的に、こうした事故の多くが「不適切な保管・処分」に起因しており、使用後の電池をそのまま放置することが極めて危険であることが指摘されています。端子部の絶縁処理破損の有無の確認は、廃棄前に必ず行うべき基本動作です。

間違った保管による事故事例

保管時における事故も依然として発生しており、高温多湿な場所直射日光の当たる場所に放置された電池が自然発火する事例が多数確認されています。
特に、電動工具やコードレス掃除機の使用後に、充電池を適切に冷却せずに収納することが原因となるケースが多く見られます。安全な保管には通気性の良い容器に入れ、端子を絶縁し、衝撃のない場所に置くなどの配慮が必要です。これにより、自宅でも事故のリスクを大きく軽減できます。

参考:リチウムイオン二次電池の安全で正しい使い方 | 一般社団法人 電池工業会

これがルール!処分に関わる法令と指針

リチウムイオン電池の廃棄には法律が関係します。家庭用と事業用では扱いが異なり、法律や自治体の方針に従った処理が求められます。

一般家庭と事業所で異なる扱い

リチウムイオン電池の処分は、排出元が一般家庭か事業所かによって法的な取り扱いが変わります。家庭から出る廃棄物は「一般廃棄物」として市区町村の責任で処理されますが、事業所から排出されるものは「産業廃棄物」とされ、法律に基づき事業者が処理責任を負います。
特に、モバイルバッテリーや工具用電池などを使用する業種(建設業、製造業など)では、排出量が多くなるため、適切な契約と管理が必要です。事業主は、処理責任と法律上の義務を明確に理解し、適正処理を行う必要があります。

資源有効利用促進法のポイント

リチウムイオン電池は「資源有効利用促進法」の対象製品とされており、その製造、販売、廃棄の全段階でリサイクルの促進が求められています。
特に「特定家庭用機器」や「小型充電式電池」については、回収とリサイクルのシステムが構築されており、消費者は使用済みの電池を回収拠点に持ち込む必要があります。また、製造業者や輸入業者には、再資源化のための費用負担やリサイクルシステムの整備が義務づけられています。
この法律により、リチウムイオン電池を単に廃棄するのではなく、回収・再利用へとつなげる責任が社会全体に課せられているのです。製品に表示されている識別マークや回収マークを確認することが重要です。

参考:3R政策(METI/経済産業省)

各自治体・管轄機関の対応方針

自治体ごとに回収体制や処分ルールは異なり、地域の処理施設の能力や人口規模により決まっているため、居住地域の方針を確認することが不可欠です。

知っておきたい!安全な廃棄の手順

リチウムイオン電池を安全かつ正確に処分するには、具体的な手順に従うことが重要です。自治体のルールや専門業者の活用法を押さえておきましょう。

自治体の回収ルールに従う方法

多くの市町村では、使用済み電池の回収日に合わせて出すよう指示しており、絶縁処理が義務付けられています。端子部分にはセロハンテープを巻くなど、感電・発火防止の措置が求められています。
回収ルールの遵守は、収集時や処理時の事故リスクを大幅に低減することにつながります。お住まいの自治体のウェブサイトや広報紙で最新の情報を確認し、ルールに従って排出することが、事故を防ぐための重要な一歩となります。

家電量販店・専門業者を活用する

家電量販店では、リチウムイオン電池を含む「小型充電式電池」の回収ボックスを設置している店舗が多く、一般家庭でも無料で持ち込み処分が可能です。対象となるのは、製品に「JBRC」のマークがある電池です。これに該当する場合は販売店での回収を利用するのが便利です。
一方、企業や個人事業主が排出する大量の電池は、産業廃棄物扱いとなるため、許可業者への委託が必要です。電池の処分方法に迷った場合は、まずはお近くの自治体や家電量販店などに相談してみましょう。

電池端子の絶縁処理と保管方法

廃棄前に電池端子を絶縁処理することは、発火事故を防ぐ上で最も重要な対策の一つです。リチウムイオン電池の端子部分が金属や他の電池と接触すると、短絡が起こり発熱・発火につながる恐れがあります。
絶縁処理は、端子にセロハンテープやビニールテープをしっかり巻くことで簡単に行えます。特に、電池が複数ある場合や保管期間が長くなる場合は、1本ずつ個別に絶縁し、金属容器ではなくプラスチック製のケースなど通気性が確保できるものに入れて保管することが望ましいです。また、保管場所は高温多湿や直射日光を避けた冷暗所が適しています。

参考:乾電池・リチウム一次電池 | 一般社団法人 電池工業会

小型充電式電池リサイクルBOXの利用

JBRC(一般社団法人JBRC)が設置する「リサイクルBOX」は、全国の家電量販店やホームセンターなどで利用可能で、使用済みの小型充電式電池を無料で回収しています。
対象となるのは、ニカド電池ニッケル水素電池リチウムイオン電池で、製品にリサイクルマークがあるかを確認することで判別できます。持ち込む際には、電池の端子を事前に絶縁処理することが推奨されており、店頭でも案内がされています。
この制度により、個人でも簡単にリサイクルに参加でき、回収された電池は適切な処理を経て、金属資源として再利用されます。リサイクルBOXの設置店舗が限られている地域もあるため、事前に設置場所を確認することが重要です。

参考:一般の方へ | 小型充電式電池のリサイクル 一般社団法人JBRC

今後の動き:分別回収義務化の方向

リチウムイオン電池の安全管理強化に向けて、国や業界団体では分別収集の義務化や製造者責任の明確化が進められています。最新の政策動向を押さえておきましょう。

分別収集の義務化に向けた政策動向

環境省は2023年度以降、リチウムイオン電池を含む小型充電式電池について、自治体ごとの回収体制の強化と分別収集の義務化を段階的に進める方針を示しています。
これは、ごみ処理施設やごみ収集車などでの火災事故が多発していることを受けた措置です。今後、各自治体において、住民にとって利便性の高い分別収集方法の実施や、回収した電池の適切な保管、国内の適正な処理が可能な事業者への引き渡しなどが求められます。

参考:
すべてのリチウムイオン電池の回収を市町村で 環境省「一般廃棄物として自治体が回収するのが“あるべき姿”」 – ITmedia NEWS
市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について(通知)

メーカー・販売店への責任強化

資源有効利用促進法の改正により、電池の製造業者や販売業者には、製品の回収とリサイクルに関する責任がより一層強く求められるようになっています。
特に、一定量以上の電池を市場に供給する事業者は、自主回収体制の構築や、JBRCなどの指定法人への加入、リサイクル費用の負担などが義務付けられています。これらの措置により、使用済み電池の回収・再資源化の促進と、資源の有効活用が図られています。
消費者が製品を選ぶ際にも、リサイクルの取り組みが考慮されるようになってきています。

消費者が知っておくべき最新情報

消費者が安全かつ責任を持ってリチウムイオン電池を廃棄するためには、常に最新の制度や回収方法を確認することが重要です。
環境省や各自治体のウェブサイトでは、リチウムイオン電池に関する情報や回収方法の変更などが随時公開されています。また、国民生活センターや消防庁なども、電池の安全な使用や処分に関する注意喚起を行っています。
日常生活でスマートフォンやパソコンなどを使う私たち一人ひとりが、電池の使用者であるという意識を持ち、処分する際には適切な行動をとることが求められます。日頃から情報を収集する習慣を持つことが、安全性と環境保全の両立につながります。

正しく知って、正しく捨てよう:リチウムイオン電池処分の総まとめ

リチウムイオン電池の適切な処分は、安全・環境・法律すべての観点から必要不可欠です。正しい知識を持ち、行動することが、事故防止と資源保全に直結します。

安全な処分が事故防止と環境保全に直結

リチウムイオン電池を正しく処分することは、自宅や職場の安全を守るだけでなく、限りある資源を次世代へとつなぐ行為でもあります。
不適切な廃棄は、火災や環境汚染を引き起こし、地域社会全体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、電池を使用する一人ひとりの意識が重要となります。適切な処分は、安全と環境保護を両立させ、家庭や職場において安心して電池を利用できる社会の実現に貢献します。
特に、定期的に廃棄が発生する企業や施設においては、適切な処理体制を構築することがリスク管理につながります。

自治体や専門機関の情報を積極的に活用

リチウムイオン電池の正確かつ最新の処分方法を知るためには、お住まいの自治体の広報誌や公式ウェブサイト、関連する専門機関の通知や資料を確認することが最も確実です。回収日や回収拠点の変更、関連法規の改正などは、予告なく行われる場合もあるため、定期的に情報をチェックすることが大切です。
また、JBRCや各自治体が提供しているリサイクルシステムを利用することで、個人や企業は費用や手間を抑えながら適切な処分を行うことができます。

法令と今後の動向にも注目を

リチウムイオン電池の処分に関する制度や法令は、技術の進歩や社会の状況に応じて、常に変化しています。将来的には、製品の設計段階からリサイクルしやすい構造が重視され、消費者には製品の識別表示の確認や分別への協力が求められるようになるでしょう。
特に事業者に対しては、産業廃棄物としての管理責任がより明確化され、処理を委託する業者の適格性を確認する義務が強化される傾向にあります。

参考:産業廃棄物処理業者の情報 | 環境再生・資源循環 | 環境省

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